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【水の不思議①】“氷が水に浮く”のは実は異常なコトだった。
更新日:2021年2月28日

TGです。
私たちの身近にある“水”ですが、実は他の物質に比べて非常に特殊な物質なのです。
今回から、そんな水の驚くべき性質にフォーカスしていこうと思います。
さすがにすべてを紹介できませんので(本当にたくさんある)、
いくつかピックアップして解説していきます。
水って本当にすごいんですよ!
氷は水に浮く
「何を当たり前のことを」と思われるかもしれません。
ですが、この現象は他の物質ではめったに見られない、特殊な性質なのです。
まず、なぜ氷が水に浮くかというと、これは水の“密度”が氷の“密度”よりも大きいためです。
密度とは単位体積当たりの重さ、つまり「物質をある大きさにして考えたときの重さ」のことです。
なので、液体の中に固体を入れたときにその物質が浮かぶか沈むかは、密度を比較することで判断できます。
例えば、鉄の玉を水の中に入れるとします。
水よりも鉄の密度の方が大きいので(水は1、鉄は7.9)、鉄は水に沈むということが分かります。

では、本題に戻ります。水の密度は1ですが、氷の密度はいくつでしょうか。
正解は0.92です。したがって、氷は水に浮かぶのです。
では一体この現象の何が特殊なのか、より詳しく見ていきます。
固体と液体の密度
一般的に、固体は液体よりも密度が高いです。
ちなみにこれは、“同じ物質で比較した場合”です。
先ほど例に出した鉄の場合、液体の密度は7.0 g/cm3です。
(余談ですが、鉄の融点=溶ける温度は1538℃です。熱い。)
固体の鉄の密度が7.9ですので、鉄球は液体の鉄の中に沈むことになります。

この世のほとんどの物質は鉄と同様、固体は液体よりも密度が高いのです。
そのため、水のように固体よりも液体の密度が高い物質を“異常液体”と呼びます。
(他には半導体の原料であるケイ素や、ゲルマニウムなどがあります。)
ではなぜ、普通は液体の方が固体よりも密度が低いのでしょうか。
そして、なぜ水はその性質が逆転してしまうのでしょうか。
少し難しい話になりますが、なるべく平易に、次の章で解説していきます。
分子同士の結びつき
皆さんは物質の状態変化が起こる理由を覚えていますでしょうか。
(状態変化=物質が温度によって固体、液体、そして気体へと形態を変えること)
それは、その物質を構成する“分子”の状態が異なるためです。
固体は分子が規則的に、きれいに並んでいる状態です。
気体はそれぞれの分子が自由に飛び回っている状態、液体はほどほどに集まっている状態です。
ちなみに、温度を上げると固体→液体→気体になるのは、
温度を上げると分子の運動エネルギーが増加するためです。
要するに、温度が高くなると分子はその場でじっとしていられなくなってしまうのです。

規則的に分子が並んでいる方が、全体の大きさとしては小さくなる、
つまり同じ重さでもサイズが小さい=密度が小さい、ということが直感的に分かると思います。
ですが、水はほどほどに集まっている方が、規則的に並んでいるよりも密度が大きいのです。
これが水を特殊な物質たらしめている理由です。
この要因は、液体の水が“水素結合”によって結びついているためです。
これ以上はここで説明すると終わらなくなってしまうので割愛しますが、
水は少し自由に動ける状態の方が、お互いに近づくことができるのです。
頭で理解しても、不思議ですよね。

まとめ
今回は“水の特殊な性質”として、「氷が水に浮く」理由を解説しました。まとめると、
「氷」は「液体の水」よりも密度が低い(他の物質と逆!)
それは“水素結合”によって、液体の水の方が分子が近づくことができるから
でした。水の特殊さは先にも述べた“水素結合”によるものが多いのですが、
今後他の特徴についてもも紹介&解説していこうと思います。
ちなみに水の特殊性を少しだけ挙げると、
気化熱が大きい(蒸発する時にたくさん熱を奪う)
圧力を加えると氷が溶ける
比熱が大きい(熱が伝わりにくい)
色々な物質をよく解かす
などなどです。どれも私たちの生活に不可欠な性質で、水がなければ、
脱水症状以前に私たちの生活は成り立たなくなってしまうものばかりなのです。
ということで今回はこの辺で終わります。
次回更新をお楽しみに。