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【水の不思議③】水の極み“超純水”について。



TGです。

水の不思議シリーズ第三段です。

前回紹介できなかった“超純水”について紹介します。


かっこいい名前ですが、超純水とは一体何者なのでしょうか。


きれいな“水”とは

皆さまがイメージする、きれいな水とは何でしょうか。

ミネラルウォーター?湧き水?実験で使う蒸留水?いろいろとあるはずです。


ですが、残念ながら違います。

思った以上に身近な水には不純物が含まれているのです。


これは、前回紹介した水の“様々な物質を溶かす性質”に起因します。

実際水の中には様々な物質が溶け込んでいるんですよ。

南アルプスの天然水に含まれる成分
水に含まれる成分

では、真にきれいな水とは何でしょう。

これは言い換えれば、最も分子の水(=H2O)に近い水ということになります。

この理想を求めた結果、極限まで不純物を排除した水が“超純水”になります。


超純水はどのように作られるか

では実際、超純水はどのようにして作られるのでしょうか。

これは、様々な装置を用いて徐々に不純物を取り除いていくことになります。

全ては書ききれませんので、代表的なものを以下に挙げます。


  • イオン交換樹脂の仕組み


それぞれの役割について、簡単に説明していきます。


<活性炭>

いわゆる炭です。この炭を使って水をろ過することで、きれいにすることができます。

この理由は、活性炭には小さな孔がたくさん空いていることに起因します。

この孔に、様々な物質を吸着させることができるのです。

活性炭の表面には孔が開いている
活性炭の表面にはたくさんの孔が開いている

活性炭を用いた脱臭剤なども市販されていますが、これも臭いの元となる分子を、

活性炭に空いた孔に吸着させてあげることで無臭化させているのです。


ただし、活性炭自体から汚染物質が溶出しやすい(とはいっても少ないですが)ので、

あくまで超純水を作るための前段階として使われることが多いです。



<逆浸透(RO)膜>

逆浸透現象という現象を用いて、水を清浄化します。

原理は難しいので割愛しますが、要するに水分子だけを通す膜でろ過すると考えてください。


RO膜を通すことで極めてきれいな水を得ることができます。

かなり多くの不純物を取り除くことができる、オールマイティープレーヤーです。

一方で、水分子より小さなガス分子や微粒子を除くことは苦手としています。



<イオン交換樹脂>

その名前の通り、水中のイオンの除去に特化した専門家です。

0.5mm程度のビーズ状の樹脂を筒状の容器に詰め、水を通して使います。


樹脂の表面にあるーHやーOHが、水中のイオンと交換して水をきれいにします。

簡単な図を描くと以下のような感じです。

イオン交換樹脂の仕組み
イオン交換樹脂の仕組み

ちなみに、表面にーHが付いたものを陽イオン交換樹脂、

―OHが付いたものを陰イオン交換樹脂と呼びます。



<脱気膜>

こちらは水中のガス分子を取り除くための専門家になります。

水中に溶け込んだガス(酸素や窒素、二酸化炭素)を除去するために使われます。


簡単な仕組みとしては、水は通さずガス分子だけを通す膜を用います。

要するに、気体をろ過するイメージです。



<限外ろ過(UF)膜>

UFはウルトラ・フィルテーションの略です。

水中の微粒子を除去するための専門家です。


ここでいう微粒子とは、数nm(ナノメートル=1mmの1,000,000分の1)程度の粒子を指します。

目の細かい膜を使ってろ過することで、目に見えないレベルの微粒子を取り除くことができます。



超純水はどこで使われるか

ここまで超純水の作り方を説明しましたが、そもそも、

そんなきれいな水をどこで使うのか、という疑問をお持ちかもしれません。


超純水のメインの用途は、“洗浄”です。

その溶解性の高さから、半導体製品や医薬品の洗浄に使われています。


「え、洗剤は使わないの?」と思うかもしれませんが、

私たちが洗剤を使っても、最後にそれを洗い落とすのは水ですよね。

その水がきれいでなければ、不純物が製品上に残ってしまうことになります。


そんな少しの不純物さえ許されないのが、半導体や医薬などの世界になります。

非常にシビアですが、超純水はそんな世界を陰から支えているのです。


まとめ

今回は“超純水”について詳しく解説しました。

ちなみに、超純水は飲んでも特に味はしませんよ。(筆者の経験談)


水について少しでも興味を持っていただけたら幸いです。


ということで今回はこの辺で終わります。

次回更新をお楽しみに。



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